急に抜け毛が増えて「薄毛が進行しているのでは」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。実は健康な方でも毎日一定量の髪の毛は抜けています。今回は通常1日に抜ける髪の毛の目安量や年代ごとの抜け毛の原因、急に抜け毛が増えた場合の対策について解説していきます。
1日の抜け毛の目安は?抜け毛の量の判断基準
抜け毛を見ると「薄毛が進んでいるのでは」と心配になる方もいらっしゃるかもしれません。しかし髪の毛は毎日ある程度は抜けるのが通常です。まずはどのくらいの量の抜け毛であれば許容範囲なのか、1日の抜け毛の目安を知っておきましょう。
正常でも髪の毛は1日100本程度抜ける
髪の毛は毛周期(ヘアサイクル)と呼ばれる周期のなかで発毛と脱毛を繰り返していきます。
正常な毛周期のなかでは1日50~100本ほどの髪が抜けるといわれています(自然脱毛)。
つまり1日100本程度の抜け毛であれば正常といえるわけです。
また抜け毛は夏から秋口にかけて増えるとされています。夏場の疲れや紫外線ダメージが秋口に現れることなどが理由と考えられていますが、詳しくは判明していません。
季節要因もあるため一概にはいえませんが、1日に100本以上抜けると薄毛が進行している可能性があります。
【年代別】急に抜け毛が増える原因とは
髪の毛の抜け方にもさまざまなパターンがあります。FAGAなど徐々に抜け毛が増えていくパターンもある一方で、急に抜け毛が増えるケースがあります。急に抜け毛が増える原因を年代別に紹介していきます。
20代女性の抜け毛の原因
生活環境の変化によるストレス
20代は入学や就職、結婚などでライフステージが変化することが多く、またそれにともなうストレスもかかりがちな時期です。
実のところ、ストレスと抜け毛の直接的な因果関係は立証されていません。
しかしストレスが間接的に抜け毛に影響する可能性は高いといえます。
髪の毛の成長には栄養素が必要で、頭皮に栄養素が十分に行きわたるためには血行が良好でなければなりません。
ストレスがたまると自律神経の乱れを招き、自律神経の乱れは血流悪化につながるのです。
ヘアカラーやパーマの頭皮ダメージ
若いうちはヘアカラーやパーマでお洒落を楽しむ方も多いでしょう。
ヘアカラーやパーマは、強いアルカリ性の薬剤を使用します。アルカリはタンパク質を溶かす作用があり、頭皮や髪の毛に大きな負荷がかかります。そのためヘアカラーやパーマを繰り返していると抜け毛が増えやすくなるのです。
食生活の乱れ
若いころはなにかと食が乱れがちです。特に一人暮らしの場合、準備がおっくうで簡単な食事で済ませてしまったり、外食に頼ったりすることも多いでしょう。
髪の毛は摂取した栄養素でできています。栄養バランスが偏ると当然髪の毛の成長が阻害され、薄毛につながります。
たとえば血を作る働きのある鉄分が不足して貧血になると、髪の成長に必要な栄養が行き届かなくなります。つまり鉄分不足は抜け毛の原因になるわけです。
また脂っこいものばかり食べていると脂質過剰になります。すると皮脂が必要以上に分泌され、頭皮環境が悪化し、抜け毛の原因になりかねません。
30代女性の抜け毛の原因
加齢
臓器の機能は加齢にともない低下していくものです。
髪の毛を作る細胞も例外ではなく、年とともに機能が衰えていきます。
老化現象とまではいかなくても、加齢とともに抜け毛が増えてしまうのは自然なことです。
出産などによるホルモンバランスの乱れ
ある程度年を重ねると、ホルモンバランスの乱れが抜け毛の原因になることがあります。
特に女性の場合「産後脱毛」といって産後に女性ホルモンの分泌量が減ることにより一時的に抜け毛が増える場合があります。
産後の抜け毛についてはこちらをご覧ください。
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血行不良やストレス
30代になると運動する機会も減り、血管ももろくなってきて血流も滞りがちになります。
血行不良から抜け毛が増加するケースが少なくありません。
また仕事でも責任のある立場に就くようになることが多いのが、この年代といえるでしょう。精神的疲労からストレスがたまり、それが自律神経の不調や血行不良につながり、抜け毛が増えることは往々にしてあります。
40代女性の抜け毛の原因
睡眠不足やストレス
40代後半に差しかかると更年期障害が現れる方が多いです。
更年期障害の症状はさまざまですが、なかでも不眠やストレスの症状は抜け毛を招くことがあります。
睡眠中には髪の毛の発育に需要な役割を果たす成長ホルモンが分泌されます。
睡眠不足になると成長ホルモンが十分に分泌されず、抜け毛につながるリスクが高まるのです。
ストレスは血流悪化を招き抜け毛が増える要因になります。
更年期のホルモンバランスの乱れ
女性ホルモンは20代をピークに分泌量が下がっていくといわれていますが、閉経を境にその分泌量はさらに低下します。
女性ホルモンの分泌量は減少する一方で男性ホルモンの分泌量は閉経以前と変わらないため、ホルモンバランスが著しく乱れ、抜け毛が増える要因になってしまうわけです。
急に抜け毛が増えた場合の対策法
では急に抜け毛が増えた場合、どのような対策をとればいいのでしょうか。
年代や頭皮状況に合わせたヘアケアを行う
抜け毛対策には、年代や頭皮状況に合わせたケアが大切です。
たとえば若いころはヘアカラーやパーマで髪の毛や頭皮にダメージが蓄積しがちです。
髪の毛や頭皮が傷んでいる方はダメージ補修成分が含まれたトリートメントや、やさしく洗えるアミノ酸系シャンプーなど傷みに配慮したヘアケアアイテムを使うようにしましょう。
特に20代のころは皮脂が過剰な傾向にあります。
頭皮が脂っぽくなっている方はサッパリ洗い上げられるシャンプーや、頭皮環境を整える作用のあるヘアケア製品がおすすめです。
ただし、ヘアケア製品は継続して使用しないと効果が現れません。使い続けられる価格帯のものを選ぶことも大切です。
30代になると頭皮の皮脂分泌も低下し始めますから、洗浄力の強いシャンプーは刺激が強く頭皮トラブルの原因になることがあります。
とりわけ産後は頭皮が過敏になって、それまで使用していたシャンプーがあわなくなる場合があります。かゆみなどの頭皮トラブルが生じたら、アミノ酸系やベタイン系など刺激の弱いシャンプーに切り替えるとよいでしょう。
更年期に入ると髪質は変わるといわれています。
40代後半にさしかかるころから髪の毛のツヤやコシが失われたり、パサついたりするケースは少なくありません。保湿成分やダメージ補修成分配合のシャンプーやトリートメントで乾燥やダメージのケアをすることが大切です。
ヘアオイルやトリートメントを使って、頭皮マッサージするのもおすすめです。血行がよくなり頭皮環境の改善も見込めます。
バランスのいい食事を心がける
健康の資本は栄養素です。髪の毛にも同じことがいえ、抜け毛対策においては食生活に気を配ることがきわめて重要になります。
普段から栄養バランスを意識した食事を意識しましょう。
なかでも髪の毛の主成分であるケラチンを合成するために、必要なビタミンやアミノ酸はすすんで摂取したい栄養素です。
またビタミンB2、B6には皮脂の分泌量をコントロールする働きがあり、抜け毛の一因となる毛穴詰まりを予防する効果が期待できます。
ミネラルも摂取したいところです。亜鉛はケラチンの合成に必要で、皮膚や髪の毛の成長をサポートする働きがあると考えられています。血液の生成を助ける鉄分もしっかり摂取し貧血にならないようにしましょう。特に月経のある女性は鉄分が不足しやすいので注意が必要です。
ただしとり過ぎは逆効果になる栄養素もある点は頭に入れておかなければなりません。
また食べ過ぎは内臓に負担をかけます。消化器官の機能が低下すると摂取した栄養素を十分に吸収できなくなり、結果的に薄毛を招いてしまうわけです。
そのほか肥満は薄毛につながることがわかっています。
おすすめの栄養素についてはこちらをご覧ください。
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睡眠の質を高める
抜け毛と睡眠は密接に関係しています。
なぜなら髪の毛の発育にかかわる成長ホルモンは睡眠中に多く分泌されるからです。
成長ホルモンは入眠後最初の3時間に最も盛んに分泌されるといわれています。睡眠の質を高めることが成長ホルモンをしっかり分泌させることにつながるのです。
睡眠の質を高める方法を以下に列挙します。
- 日中運動をする
- 就寝3時間前には食事を終える
- 布団のなかでスマートフォンなどのブルーライトを浴びない
- 就寝90前に入浴するなど
ストレス解消方法を見つける
ストレスをため込みすぎないことも大切です。日常のなかでできるストレス発散方法を見つけましょう。
自分が好きなことや没頭できることであれば、基本的に内容は問いません。
ただテレビゲームなど目を酷使するものは、やりすぎに注意です。
眼精疲労から血流が悪化し、抜け毛が増える原因になることがあります。
おすすめは運動です。
血流アップや自律神経が整う効果も期待できます。日中適度に運動することで夜の睡眠の質も上がるでしょう。
医師への相談が近道なケースも
抜け毛の原因は多岐にわたり、自力で対処できるケースとそうでないケースがあります。
場合によっては医師への相談が解決の近道になるでしょう。
たとえば不摂生からくる自律神経の乱れや頭皮環境の悪化などが抜け毛の原因となっている場合、生活習慣を見直すことで改善できる可能性はあるかもしれません。
他方、病気やホルモンバランスの乱れが抜け毛につながっている場合、自力での対処は困難です。
また複数の要因が絡んでいたり、専門家でないと見極めが難しかったりするケースも少なくありません。
日常生活でできる対策を行ったり、医師へ相談してみたりなどご自身の悩みに合わせた解決方法を試してみてはいかがでしょうか。