髪の毛の悩みはさまざまですが、そのひとつが白髪です。白髪は印象にも大きく影響するため、なんとかしたいとお考えの方も多いでしょう。白髪の原因と考えられているもののひとつが、栄養状態です。今回は白髪対策に有効な栄養素について解説します。白髪ケアに適したおすすめの料理も紹介していますので参考にしてください。
栄養素不足が白髪の原因のひとつといわれている
白髪の原因について現時点では完全には解明されていません。ただ、白髪を招く可能性が高いと考えられている因子がいくつかあります。そのひとつが栄養素不足です。
栄養素不足はメラニン色素の枯渇を招く
髪の毛は「毛包」と呼ばれる組織のなかで作られます。
実は作られたばかりの髪の毛は白色をしていて、成長過程でメラニン色素を吸収し、色を付けていくのです。
栄養状態が悪いとメラニン色素を作るメラノサイトの機能が低下します。すると、髪の毛が色を取り込めなくなり白髪になるリスクが高くなってしまいます。
白髪の原因と考えられているものには栄養素不足のほか、以下のようなものがあります。
- 加齢
- 遺伝
- ストレス
- 偏りのある食生活
- 紫外線ダメージ
- 病気など
白髪対策に重要な栄養素とは
では白髪対策に重要な栄養素にはどんなものがあるのでしょうか。
チロシン
チロシンは、タンパク質を構成するアミノ酸の一種です。
メラノサイトのなかでは、チロシンをもとに「チロシナーゼ」などの体内酵素によってメラニン色素が作られています。つまりチロシンはメラニン色素の原料になる成分です。
また白髪の一因とされるストレス状態にも関係していると考えられています。チロシンは白髪対策を行う上で積極的に摂取すべき栄養素といえるでしょう。
タンパク質
髪の毛の主たる成分は、いくつものアミノ酸から成る「ケラチン」と呼ばれるタンパク質です。
タンパク質が不足するとメラニン色素のもとになるチロシンが作られにくくなり白髪のリスクが高まります。
またタンパク質は皮膚や爪、あらゆる臓器を構成する成分であり、代謝にもかかわります。タンパク質はメラノサイトの機能維持にも重要な役割を果たす可能性が高いといえるのです。
ミネラル
ミネラルは全般的にメラノサイトの働きをサポートすると考えられています。
たとえば育毛サプリなどにもよく配合される亜鉛には、メラニンの生成を助ける効果があるといわれています。亜鉛は体内合成できない必須ミネラルで、補給が欠かせません。
鉄分には血液の生成をサポートし、血行を促進する作用があるといわれています。血行が滞るとメラノサイトに十分な栄養素が届かなくなり白髪のリスクが高まってしまうのです。
女性、特に月経がある場合では鉄が不足する傾向にあります。
また銅はチロシナーゼの働きに、カルシウムはメラノサイトの働きにかかわるとされています。
「イライラにはカルシウムがよい」といわれるように、カルシウムには気持ちを鎮める作用もあると考えられています。
ストレスは白髪の一因といわれているため、カルシウムは白髪ケアに役立つわけです。
そのほかヨードはメラノサイトの働きをサポートするといわれています。
ビタミン群
ビタミン群は全般的に白髪対策に有用な栄養素です。
たとえばビタミンB群はタンパク質の代謝を助ける働きがあると考えられています。
ビタミンCは頭皮にうるおいを与え、細胞の成長や健康に寄与するといわれています。ビタミンEは皮脂分泌をコントロールする作用があると考えられており、頭皮環境の改善が見込めるでしょう。
ビタミンHとも呼ばれるビオチンはメラノサイトの働きに関係するといわれています。
またビタミンB12は、メラニン色素の合成に必要な栄養素です。
白髪対策におすすめの食材
では、こうした白髪ケアに適した栄養素はどんな食材に含まれているのでしょうか。
チロシン、タンパク質、ビタミン群、ミネラルそれぞれについて豊富に含む食材を紹介していきます。
チロシンを多く含む食材
- アボカド
- マグロ
- 肉
- バナナ
- チーズ
- 納豆
- 豆腐など
チロシンはマグロなどの魚介類、アボカドやバナナなどの果物、豆腐や納豆などの豆製品に豊富です。チロシンは体内合成できる非必須アミノ酸に分類され、通常の食生活を送っていれば不足することは少ないでしょう。
タンパク質を多く含む食材
- 肉
- 卵
- 魚
- 牛乳
- 豆
- チーズなど
タンパク質は動物性タンパク質と植物性タンパク質に分かれます。動物性タンパク質は主に肉や魚、卵などに、植物性タンパク質は主に豆などに多く含まれます。
植物性タンパク質は脂質が少ない一方で体内合成できない必須アミノ酸も不足しがちです。
動物性タンパク質と植物性タンパク質の両方を摂取するよう心がけましょう。
必須アミノ酸は、最も不足しているアミノ酸の量によってその効果が制限されてしまう特性を持ちます。そのため、アミノ酸はバランスよく摂取することが重要です。
ビタミン群を多く含む食材
ビタミンA、Cを多く含む食材
- アセロラ
- レモン
- アボカド
- ほうれん草
- フルーツなど
ビタミンB群を多く含む食材
- 卵
- レバー
- ニンニク
- 肉類
- ナッツ類
- 豆類など
ビタミンA、Cはフルーツや色の濃い野菜に、ビタミンB群は卵や肉類、豆類などの豊富に含まれます。
ビタミンは体内で合成できないものが多く、補給が欠かせません。
特にビタミンCは体内で蓄積できないため、こまめな摂取が必要です。
ミネラルを多く含む食材
- ナッツ類
- 魚類
- 豚レバー
- 牛肉の赤身
- 大豆製品
- ブロッコリー
- 牡蠣
- 乳類など
亜鉛は牡蠣や豚肉や卵、大豆製品やチーズ、レバーに豊富です。
また銅は豆製品や小麦やレバー甲殻類、ごぼうやプルーン、モロヘイヤなどに、カルシウムは魚介類や大豆製品、乳類などに多く含まれます。そのほか鉄分はレバーやひじき、かつおなどに豊富です。
白髪対策におすすめの料理
最後に白髪対策におすすめの料理について紹介します。苦手な食材がある場合に代用できる食材についても紹介していますので、参考にしてください。
おすすめ料理①豚肉と鮭のクリームシチュー
牛乳にはカルシウムのほかビオチンも含まれます。
シチューにすることで水溶性のビタミンB群も逃さず摂取することが可能です。
温かな料理を取り入れることで血行促進も見込めるでしょう。
ビタミンBやタンパク質が豊富な豚肉、亜鉛やタンパク質が含まれる鮭を使った、白髪対策にうってつけの料理です。
おすすめ料理②レバニラ卵炒め
亜鉛はビタミンCと一緒に摂取することで吸収効率が上がるため、レバーとニラの相性は抜群といえるでしょう。ビタミンCはネギやもやしにも豊富に含まれるため、ニラが苦手な方は代用可能です。
生卵には、ビオチンの吸収を妨げる「アビジン」が含まれるため、加熱調理することが重要になります。
おすすめ料理③イワシの玄米炊き込みご飯チーズ乗せ
イワシにはカルシウムや亜鉛といったミネラル類が豊富で、動物性タンパク質も含まれます。
チーズにはチロシンが豊富です。チロシンは糖質と一緒に摂取することで吸収率が高まります。銅やビタミンBが多く含まれる玄米と一緒に食べるのがおすすめです。
ただその独特な食感から玄米を苦手とする方もいらっしゃるかもしれません。その場合はビタミンやミネラル類の栄養価は劣りますが、白米を替わりに使用しても問題ありません。
おわりに
白髪の原因については現時点では完全には解明されていません。ただ、髪の毛はメラニン色素を取り込むことで黒くなることはわかっています。
つまりメラニン色素を作る細胞の働きにかかわる栄養素を摂取することは、白髪改善に寄与する可能性が高いといえるわけです。しかしながら栄養素にも相性があり、組み合わせが悪いと相互作用で吸収効率が下がることがあります。
忙しい場合や献立を考えるのが負担になる場合、サプリメントの活用がおすすめです。