「頭皮がかゆい」とお悩みではありませんか?頭皮のかゆみで家事や仕事に集中できず、生活に支障をきたしている方もいらっしゃるかもしれません。実は頭皮のかゆみは自分で治せるケースもあります。今回は頭皮のかゆみの原因と対策を紹介していきます。
なぜ頭皮がかゆくなるの?5つの原因を解説
頭皮のかゆみをおさえるには、かゆみがなぜ発生するのかを把握する必要があります。まずは頭がかゆくなる原因を5つ紹介します。
原因①頭皮の乾燥によるかゆみ
皮膚にはバリア機能が備わっていて、外部から肌内部を守っています。
頭皮の水分が失われ乾燥が進むとバリア機能は低下します。すると、外部からの刺激に過敏になり、頭皮にかゆみが発生することがあるのです。
頭皮が乾燥する原因はさまざまですが、たとえば以下のようなものがあります。
- 紫外線
- 低気温
- ホルモンバランスの乱れ
- 偏った食生活
- 水分不足
- 栄養素不足など
原因②フケによるかゆみ
フケは頭皮を刺激し、かゆみを招きます。頭皮が乾燥すると薄くて細かい「乾燥フケ」の発生につながります。
頭皮の皮脂の過剰分泌により「脂性フケ」と呼ばれる粘着性のフケが発生することもあります。
皮脂の過剰分泌の原因は脂質に偏った食生活や不十分な洗髪、ホルモンバランスの乱れなどです。
原因③ヘアケア製品によるかゆみ
ヘアケア製品が刺激となり頭皮のかゆみを引きおこすケースも少なくありません。
特にあわないシャンプーやトリートメントを使い続けていると頭皮が荒れ、かゆみがおきることがあります。
またシャンプーやトリートメントのすすぎ残しも、かゆみの一因です。
原因④更年期症状によるかゆみ
40代以降の女性に多い頭皮のかゆみは、更年期によるものです。
更年期になるとエストロゲンの分泌量が低下します。
エストロゲンはターンオーバーの促進や皮膚のうるおいにかかわるセラミドやヒアルロン酸を合成する役割を担っているといわれています。
つまり更年期にエストロゲンが減ることで肌の水分量が低下し、かゆみが生じやすくなるのです。
また更年期症状のひとつにストレスがあります。
過度にストレスを感じると自律神経が乱れ、血流悪化や皮脂の過剰分泌を招き、結果としてかゆみがおきやすくなります。
原因⑤皮膚疾患(湿疹・炎症)からおこるかゆみ
頭皮に湿疹や炎症がおこることでかゆみが生じる場合もあります。いわゆる「かぶれ」の状態です。
かゆみをともなう皮膚疾患には次のようなものがあります。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎はかゆみをともなう湿疹が、慢性的に悪化と緩和を繰り返す疾患です。
皮膚のバリア機能が低下することが原因と考えられていますが、詳しいメカニズムは解明されていません。
脂漏性皮膚炎
脂漏性皮膚炎は皮脂分泌が盛んな部位に生じる湿疹です。
マラセチアと呼ばれる真菌が原因とされています。放置すれば脂漏性脱毛につながるケースもあります。
接触性皮膚炎
接触性皮膚炎は、特定の刺激物質に触れることで皮膚が炎症をおこす疾患です。
原因となる物質はさまざまで、日常生活のなかのあらゆるものが刺激となり得るといわれています。
膿痂(のうか)疹
膿痂(のうか)疹は小さなみずぶくれが複数現れる湿疹です。
ケガをした後や日焼け後に発生することが多いとされますが、正常な皮膚にも生じるケースがあります。
膿痂(のうか)疹の原因は細菌です。伝染性の膿痂(のうか)疹は「とびひ」と呼ばれます。
白癬(はくせん)
白癬(はくせん)はカビの一種が皮膚や爪などに感染しおこる症状です。背中や腕、太ももなど皮脂量が少ない部位に発症しやすい特徴があります。頭皮に発症した場合「頭皮白癬」と呼ばれます。
頭皮白癬のかゆみは小さいですが、膿みや傷み、腫れを合併するケースも少なくありません。
そのほか、ニキビが原因でかゆくなることもあります。
頭皮のかゆみをおさえるための5つの対策
では頭皮のかゆみをおさえるためにはどうすればよいのでしょうか。頭皮のかゆみをおさえるための対策を5つ紹介していきます。
対策①適切な頭皮ケアを行う
肌状態やかゆみの原因にあわせたヘアケア製品を選ぶことが重要です。
まずはシャンプーやトリートメントが適切か見直しましょう。
たとえば皮脂量が多くなっている方は洗浄力の高いシャンプーがおすすめです。洗浄力の低いシャンプーの場合、余分な皮脂を落としきれず、炎症などの皮膚トラブルからかゆみを招きかねません。
一方、乾燥している方は、優しく洗いあげられるシャンプーが適しているでしょう。洗浄力の強いシャンプーを使うと、肌に必要な皮脂まで落ちてしまい、乾燥が悪化します。結果的にフケが発生しやすくなり、かゆみがつながるリスクが高まるわけです。
また保湿ローションを使って頭皮のコンディションを整えることもおすすめです。
そのほか頭皮マッサージで血行を促進すると、頭皮環境の改善が見込めます。ただし頭皮マッサージにはコツがあり、やり方が悪いと逆効果になるケースがあります。
対策②適切な方法でシャンプーを行う
誤った洗髪方法はかゆみの一因である乾燥に直結します。お伝えしているように頭皮のかゆみの原因はさまざまです。しかし、かゆみの原因は頭皮の汚れにあると思い込み、力を入れてシャンプーをしてしまう方も少なくありません。
過剰な洗髪は本来必要な皮脂まで落とし、乾燥によるかゆみが生じやすくなってしまうのです。
熱すぎるお湯も必要な皮脂が落ちる原因になるため、40度程度のぬるま湯で優しく洗うよう心がけましょう。
脂漏性皮膚炎の場合、しっかりと汚れを落とす必要がありますが、爪を立てたり、擦ったりすると頭皮が傷つきかねません。
いかなる場合も、優しく指の腹で洗いあげることが大切です。
また、すすぎ残しはかゆみの原因になるため、十分に洗い流すようにしましょう。
そのほか、炎症をおこしている箇所は擦らないことも大切です。
対策③市販の薬を利用する
頭皮のかゆみは市販薬で改善することも少なくありません。
外用薬にはかゆみ止め成分のほか殺菌成分や抗炎症成分などが配合されていて、即効性のあるものもあります。
ステロイド外用薬もおすすめです。
ステロイドは強力で副作用が強いとのイメージが持たれがちですが、長期間漫然と使用し続けないなどの注意事項を守って使用すれば、外用薬ではさほど心配はいりません。
ステロイド外用薬の典型的な副作用には以下のようなものがあります。
- メラニン色素が少なくなる色素脱失
- うぶ毛が濃くなる多毛
- 皮膚が薄くなる皮膚委縮など
これらは一過性のものですが、副作用への心配がある場合は医師に相談すると良いでしょう。
対策④病院で診てもらう
頭皮のかゆみがひどい場合や原因がわからない場合、病院で診てもらうのが得策です。
頭皮のかゆみは自分で対処できるケースと自力での解決が難しいケースがあります。
たとえばヘアケア製品の刺激となってかゆみが発生している場合、別のものに替えることで症状が改善する可能性が高いでしょう。
他方、病気やホルモンバランスが原因の場合、自力で治すことは難しいかもしれません。その場合、病院で診てもらうことが解決の近道となります。原因がわからない場合も病院を受診するのが賢明です。
対策⑤頭皮環境を整えるために食生活に気をつける
かゆみの原因となる頭皮トラブルを予防する食生活を心がけることも重要です。
頭皮環境を悪化させる栄養素はなるべく避け、バランスのよい食生活を意識しましょう。
皮脂の分泌をおさえるビタミンB群や頭皮にうるおいを与えるビタミンC、ビタミンAなどをバランスよく摂取することが肝心になります。
特に注意すべきなのが、脂肪分や糖分の過剰摂取です。
チョコレートを食べるとニキビができやすくなるといわれるように、脂肪分や糖分の過剰摂取は頭皮トラブルに直結します。
また脂漏性皮膚炎の原因とされているマラセチア菌は皮脂をエサに増殖することがわかっています。
そのほか、刺激物もかゆみの引き金になります。香辛料やカフェインはとりすぎないように注意が必要です。
まとめ
頭皮のかゆみの原因はさまざまです。頭皮のかゆみはヘアケアの見直しや食生活の改善、市販薬の使用などで対処できるケースが少なくありません。しかし症状がひどい場合や原因がわからない場合は医師に相談するのがおすすめです。