薄毛といえば男性の悩みがイメージされがちです。しかし実際には、女性で薄毛になるケースも多く、女性用育毛剤も販売されています。
ただし、男女で薄毛の特徴や原因は異なります。
薄毛対策をするにあたっては、薄毛に関する基本的な知識をおさえておくことが重要です。 そこで今回は男女の薄毛や抜け毛の違いから、女性用育毛剤の選び方、使い方に至るまで、女性用育毛剤を購入する前に知っておきたい基礎知識を紹介します。
育毛剤とは?
ヘアケア商品には育毛剤のほかにも発毛剤(発毛促進剤)や養毛剤がありますが、すべてひとまとめに育毛剤と呼ぶことがあります。それぞれ期待できる効果が違うので注意が必要です。
育毛剤と発毛剤の違い
- ■ 育毛剤
- 頭皮や毛髪に働きかけ、毛髪の成長を促すものです。発毛作用はありません。医薬品医療機器等法上は、通常「医薬部外品」に分類されます。
- ■ 発毛剤(発毛促進剤)
- 毛を作り出す毛母細胞の働きを活性化するミノキシジルが配合されたものです。発毛作用があります。医薬品医療機器等法上は、通常「医薬品」に分類されます。
- ■ 養毛剤
- 頭皮と毛髪に栄養を与え、髪の頭皮のコンディションを良好にするものです。発毛作用はありません。医薬品医療機器等法上は、「一般化粧品」に分類されます。(ただし、一部でも承認を受けた有効成分が入っている養毛剤については「医薬部外品」に分類されます)
それぞれ期待できる効果は違いますが、容器の形状やパッケージは似ています。見分けるにはパッケージに記載された「医薬部外品」「薬用」といった分類表記を確認します。
基本的には「医薬部外品」「薬用化粧品」の表記があるものは育毛剤、「薬用」「医薬品」「薬用育毛剤」の表記があるものは発毛剤(発毛促進剤)、これらの表記がないものは養毛剤と考えて問題ありません。一部、表記が「医薬部外品」の発毛剤(発毛促進剤)もあります。
このうち、高い効果を見込めるのは発毛剤(発毛促進剤)です。しかし発毛剤(発毛促進剤)は医薬品なので、めまいや動悸、発疹・フケ、血圧上昇などの副作用が生じることもあります。まずは育毛剤を選ぶとよいでしょう。
男性と女性の薄毛・抜け毛の特徴の違い
女性の薄毛は「FAGA(Female Androgenetic Alopecia)」と呼ばれます。
男性型脱毛症の「AGA」と名称は似ていますが、そのメカニズムや症状は異なります。
女性型脱毛症FAGA(FPHL)とは
FAGAの研究が始まったのは今から50年ほど前のことです。
当初、FAGAはAGAと同じものと考えられていました。
しかしながら研究が進むなかで、AGAとは症状や原因が異なっていることがわかってきたため、現在では、FPHL(Female Pattern Hair Loss)と呼ばれることも多いです。
FAGAには大きく次の類型があります。
ルードウィッグ型…頭頂部から後頭部にかけて徐々に薄くなっていく
ハミルトン型…生え際がM字に後退していく
クリスマスツリー型…分け目がクリスマスツリーの枝のように薄くなっていく
FAGAは女性ホルモンの分泌が低下しはじめる40代~50代に多く見られますが、なかには20代で発症するケースもあります。
AGAとの違い
AGAとFAGAではメカニズムが異なります。
AGAは、男性ホルモンのDHT(ジヒドロテストステロン)がヘアサイクルに悪影響を及ぼすことが主な原因とされています。
一方FAGAは、加齢などによる女性ホルモン分泌量の低下が主な原因と考えられています。
産後に症状が出やすいのはこのためです。
症状にも違いがあります。
AGAは後頭部や額、頭頂部など局所的に脱毛が進行します。症状の出方もだいたい決まっており、さほど個人差は生じません。他方FAGAは頭部全体が薄くなっていくケースが多く、症状の現れ方も人によって異なることがあります。
女性は「女性用育毛剤」を選ぼう
このように、男性と女性では薄毛のメカニズムや原因が違います。
つまり男性向けに作られた育毛剤を女性が使っても効果を得られない可能性があります。女性は女性用の育毛剤を使うようにしましょう。
【特徴別】女性用育毛剤に含まれる主な成分
女性用育毛剤に含まれる成分にはどんなものがあるのでしょうか。主な成分を特徴別に見ていきましょう。
血行促進成分
髪が育つには栄養が必要です。
血行が滞ると十分に栄養が届かないので、多くの育毛剤には血行促進成分が配合されています。
- ミノキシジル
- 塩化カルプロニウム
- センブリエキス
など
保湿成分
頭皮が乾燥するとバリア機能が低下し、抜け毛のリスクが高まります。
保湿成分が配合されている育毛剤も多いです。
- コラーゲン
- ヒアルロン酸
- グリセリン
- 植物エキス
- セラミド
など
女性ホルモンケア成分
FAGAの原因のひとつが、女性ホルモンの分泌低下といわれています。
女性用育毛剤には女性ホルモンの働きをサポートする成分が含まれるものも少なくありません。
- ヒオウギエキス
- ダイズエキス
- グリチルリチン酸ジカリウム
- エチニルエストラジオール
など
頭皮ケア成分
頭皮環境が悪化すると、抜け毛につながります。
抗炎症成分など、頭皮環境を整えることを目的とした成分が含まれるものもあります。
- グリチルリチン酸ジカリウム
- イソプロピルメチルフェノール
- カンゾウ根エキス
など
どれがいい?女性用育毛剤の選び方
ボリュームが欲しい、ツヤが足りない、パサつく…髪の悩みは十人十色。当然適した育毛剤も違います。
以下では悩み別におススメの育毛剤を紹介します。
ボリュームが欲しいなら血行促進タイプ・女性ホルモンタイプ
血行が悪化すると髪の成長に必要な養分が届きにくく、スカスカになりやすいです。
またボリューム不足の要因に女性ホルモンの減少も挙げられます。
ボリュームが気になるかたは、血行促進タイプや女性ホルモンタイプがおススメです。
ツヤコシ、パサつきの悩みなら血行促進タイプ・保湿タイプ
健康的な髪をはぐくむには、頭皮の血行を促進し潤いを与えることが大切です。
ハリがない、乾燥するといったお悩みなら血行促進タイプや保湿タイプがよいでしょう。
フケ・かゆみが気になるかたは頭皮ケアタイプ
太く健康的な髪の育成には土台となる頭皮環境が正常であることが重要です。
頭皮トラブルに悩んでいるかたは頭皮ケアタイプがおススメです。
女性用育毛剤の効果的な使い方
育毛剤の使い方には、コツがあります。ちょっとしたポイントをおさえるだけで、効果を高められます。女性用育毛剤の効果的な使い方を見ていきましょう。
ブラッシング
一日の終わりの髪には埃や花粉、汗、黄砂など肉眼では見えない汚れが付着しています。
ブラッシングで先に大まかな汚れをOFFしてあげることが大切です。
シャンプー
地肌が汚れていると有効成分が浸透しません。必ずシャンプーで地肌の汚れを落とすようにしましょう。
ポイントは、シャンプー剤を一旦手にとることです。手のひらで泡立ててから頭につけることでムラなく、優しく洗えます。
洗いすぎはNG。必要な皮脂まで奪われると、薄毛の原因になります。指の腹を使って丁寧に洗いましょう。
すすぎ
シャンプーが地肌に残るとかゆみなどの肌トラブルになります。きちんとすすぎましょう
ドライヤー
髪が濡れていると、育毛剤の成分が流れ落ちてしまいます。しっかりと水分を取り除くことが肝心です。
育毛剤を塗布
ここまできてようやく育毛剤を塗布します。
育毛剤は頭皮環境を整えることで薄毛にアプローチするものですから、地肌に届くように塗るのがポイントです。
頭皮マッサージ
育毛剤を塗布したら、頭皮マッサージをしましょう。
このひと手間をプラスすることで、成分が頭皮に浸透しやすくなります。
頭皮マッサージの流れ
- STEP1:頭皮全体を揉みほぐす
- 5本の指先で頭皮をつかみ、側頭部から頭の中心へ3回ほど円を描くようにして揉みほぐす。
- STEP2:頭頂部のツボを押す
- 両手指先で頭頂部のツボを3秒間押す。
育毛剤だけでなく、生活習慣から薄毛・抜け毛対策を
FAGAの主な原因は女性ホルモンの低下と考えられていますが、まだまだ未解明です。実際には、さまざまな要因が絡んでいるとされています。つまり生活習慣から薄毛・抜け毛対策をすることが肝心です。
食事に気を遣う
人体の細胞は、食べたものからできています。食生活に気をつけることは大切です。
積極的に取り入れるべき栄養
- タンパク質(アミノ酸)
- 亜鉛
- ビタミン
髪の毛の大部分はケラチンと呼ばれるタンパク質で構成されています。
従って、まずとるべきはタンパク質です。
また亜鉛も積極的に摂取したいところ。なぜなら、アミノ酸が体内でケラチンに合成されるときに必要になるからです。
亜鉛はビタミンと一緒に摂取すると、吸収効率がアップします。
ケラチンに関しては、下記の記事をご覧ください。
髪の毛は”ケラチン”と呼ばれるタンパク質で構成されます。シャンプーやトリートメントなどの成分表示で見たことがある方も多いのではないでしょうか。実はこのケラチン、不足するといろいろな髪のトラブルが起こることがあるのです。そこで今回は[…]
十分な睡眠をとる
髪の育成には成長ホルモンがかかわっています。睡眠をしっかりとると成長ホルモンが分泌されます。
適度な運動をする
運動により、
- ストレス解消
- 血流アップ
- 成長ホルモン分泌促進
が見込めます。
ウォーキングやストレッチなど、無理なくできるものから取り入れてみてはいかがでしょうか。